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選択と集中

経営者のお金の使い方チーム担当の森久です。

 

先日、小学校中学年になる娘の服を買い行った時のことです。

 

「ねえパパ、服ってさ、大きいのも小さいのもあるけどお値段同じなの?」

「そうだよ、同じ服ならサイズが違っても同じだよ」

「そうなんだ、ピザだと大きい方がお値段高いのにね。」

 

 

なるほど。

 

お昼に食べたピザと素直に比べるあたりは、こどもらしくて良い発想だ!と思いながらも、以前、量販店にスポーツアパレルの営業をしていた頃を思い出しました。

 

当時、国内に約250店舗を構えるスポーツ量販店への営業では、サイズ展開SS~XOでの展開が当たり前で、当然デザイン・機能が同じものであれば同価格で販売をしていました。

 

お客様から見れば、当たり前ですよね。

 

 

ところで、日本の成人男性の平均身長と分布ってご存じですか?

 

文部科学省の統計(2021年)によると以下の平均身長だそうです。

25-29歳 171.63cm

30-34歳 172.13cm

35-39歳 171.44cm

40-44歳 172.02cm

45-49歳 171.38cm

50-54歳 171.49cm

55-59歳 170.99cm

60-64歳 169.06cm

(参照サイト:政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)

 

年齢25~64歳の平均身長が約171㎝とすると、標準偏差±6㎝(165cm~177cm)に成人男性の7割が分布すると大まかに考えられます。服のサイズにするとM、Lサイズです。

 

つまり、M・Lサイズがちょうどいい成人男性が一番多い=M・Lサイズが買われる確率が一番高いということです。

 

では、実際は原価も同じでしょうか?

 

もちろん違います。

 

たくさん販売できるということは、

  • ロット(1回に製造できる数量)を大きくすることが出来る
  • 原材料を大量購入することが出来る

        ⇓

原価を少なく抑えることが出来るからです。

 

逆に少ない販売量では、原価交渉で価格を抑えることが難しくなります。

サイズが大きくなるにつれて、現実的に生地も大きくなるため原価も上がります。

 

 

標準偏差を基に原価と販売イメージを作成してみました。

例) 5サイズ・10店舗展開

サイズ 定価 粗利 点数 店舗 総数 総利益
S 100 20 2 10 20 400
M 100 40 3 10 30 1200
L 100 40 3 10 30 1200
O 100 20 1 10 10 200
XO 100 15 1 10 10 150
      10   100 3150

※粗利率と店舗数は仮数字ですが、割合等は私の記憶とほぼ同じです。

 

一番売れるM・Lサイズは粗利も販売総数も多く、製造側にとっても魅力があります。

では、なぜ5サイズも展開しなければいけないのか?

 

それは、

 

販売者側(ここでは量販店)の意図です。

 

量販店では老若男女たくさんのお客様を集めないといけないため、Sサイズのお客様からXOサイズのお客様まで多くの方々に対応していないとお客様が集まりません。だから量販店に商品を陳列するには、多くのサイズ展開に対応することが必須となります。多くのサイズ展開をすれば、多くの異なる作業が発生し、手間と原価が発生します。

 

 

もし粗利が良く売れやすいサイズに集中すれば、もっと利益を上げることは出来るでしょうか?

 

販売イメージを作成してみました。

例) 2サイズ集中 1チャネル展開

サイズ 定価 粗利 点数 店舗 総数 総利益
S 100 20       0
M 100 40 40 1 40 1600
L 100 40 40 1 40 1600
O 100 20       0
XO 100 15       0
      80   80 3200

簡易な計算ですが、もしこんなことが出来れば、より良い総利益が得られます。

さらに、返品や配送等の経費を浮かせたり、商品を集中して製造数を上げることで原価をさらに下げたり出来るかもしれません。

 

課題はなにか?

 

やはり、集客です。

 

『同じサイズのお客様、同じ嗜好のお客様が一同に集まれば、商品の選択や経営資源の集中をしても、同じ利益か、もしかしたらさらに良い利益結果を得られるはず。。。』

 

そう考えて考えて、人が集う場所への広告を探し求めた結果、同じ嗜好や同じ趣味・悩みをもった顧客が集まる場所=YoutubeやInstagram等 への提供が大きな広告コンテンツになってきたのでしょう。

 

時代とコンテンツが変われば、売り場も商品も変わる。

 

税金や経費(特に人件費や運送料金)が高騰する昨今、営業における経営資源の選択と集中はさらに重要になってきますね。

 

・商品の利益はみな一律ではない

・売らない場所や範囲を決める勇気が利益を生むこともある

 

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