
「実効金利とは」
従業員にとって一番大切なことは会社が安定的に存続し続ける存在であること。
そのために会社の資金が効率的に回っていることが重要になります。
TNC「お金の使い方」チーム担当の脇本です。
最近はどうなのかわかりませんが、私が銀行員時代(平成元年から13年まで)は取引先との金利についての考え方がありました。
実効金利という考え方です。これは表面金利に対して使うもので、実際に取引先が借りている金利(コスト⇒金融機関の儲けの金利・粗利益金利)です。
表面金利はそのまま調達した時に表示されるものですが、実効金利は
借入額から預金額を差引し、借入額×金利(表面金利)から預金額×預金金利を差引したもので割って計算します。計算式は下記の通りで、
(借入額×借入金利―預金額×預金金利)÷((借入額―預金額)で計算されます。
実際に使える額を借入金から預金額を差引し、実際に支払う金利額を受け取る金利を差引して計算し、ネットでの借入金利を計算するものです。
昔は貸出し交渉する時に「貸出し見合いの預金は○○百万円をお願いします」というような話のことですが、今は昔のことになっているかと思います。
具体的なやり取りにとしては、1億円の申込があって、「貸す代わりに見合いの預金を10百万円してほしい。これで本部と交渉します」、というような債権者側の強い立場からのいわゆる優越的地位を利用したやり取りのことで、これが当たり前のように行われていました。
実際にこのケースでは、借入側は1億円借りたのに90百万円しか使えません。
例え表面金利が1%だったとしても、預金金利がほぼゼロ金利なので、
(1億円×1%-10百万円×ゼロ)÷(1億円-10百万円)で実効金利も1.11%と1割以上コスト増となります。
この実効金利(実金)は金融機関の儲けの問題とともに保全面での役割も果たすので担当者としては結構タフな交渉でした。保全面でというのは、もし万が一のことがあった場合に金融機関は預金と相殺して貸出しを回収できるという点です。
私の現役時代は取引先によりますが、上記の1割という水準ではなく、もっと高い水準での交渉を本部ともやり取りをしていた記憶があります。
低金利時代に金融機関も利鞘が稼げない中で、資金取引以外に収益の活路を見い出さざるを得なくなってきているのは、今は預金交渉は金融庁の指導もあってなかなかできず、預金受け入れによる実金を上げることが難しくなってきているからという背景もあるかと思います。
私の新入社員時代は利鞘は数%ありましたが、今では1%の確保も難しいかもしれません。
こういう環境下では、金融機関との取引も、お互いが儲けることができる相手同士でないと取引は長く継続していかないのかと思います。
会社規模と取引金融機関のメリットとを考えて、うまくバランスを取りながら金融機関との良好な取引関係を維持していくという視点も必要と考えています。
(脇本裕正)
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