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「決算書は経営者の〇〇」

従業員にとって一番大切なことは会社が安定的に存続し続ける存在であること。

そのために会社の資金が効率的に回っていることが重要になります。

TNC「お金の使い方」チーム担当の脇本です。

 

私はこれまでの経歴から決算書を見て分析することが結構好きです。

この会社はどのような思いで経営しているのかなと想像しながら眺めます。

 

決算書は

貸借対照表:企業の決算期末の財務状況・資産負債の状態を表したもの

損益計算書:企業の決算期間の業績を表したもの。

が主なものになります。

さて、私が決算書を見る時はどちらから見るかというと、貸借対照表からです。

売上が上がっているか、利益が上がっているかどうかは気になるところですが、

まずは会社の財務状況を確認します。

損益は時代や環境によって大きく上振れ、下振れもありますが、貸借対照表は会社の経営に対する経営者の姿勢を示していると考えるからです。

 

貸借対照表の見るポイントはまずは安定性。自己資本比率です。

あまりに薄いと経営に対する安心感が持てません。経営者の意識に疑問を持ちます。

次に運転資金と借入金のバランス。

運転資金は理論値上(売上債権+棚卸資産(在庫)-仕入債務)で計算されますが、この計算で出てきた数字と借入金の残高がアンバランスになっていないかどうかです。

ただ、固定資産(設備)などの借入や手許資金もある程度必要なので、それらも加味して、借入金がおかしな借り方になっていないかどうかを見ます。

その他、資産勘定で雑勘定が計上されていないかどうかも見ます。

これは本来経費で計上しないといけないものを資産計上に逃がしている可能性があります。

この段階で特に違和感がなければ、次に損益計算書を確認します。

損益計算書では業種により利益率は異なりますので、数年分の推移を確認して違和感がないかどうかを見ます。通常、同じ商売をしているのであれば利益率は大きく変わることはありません。変化が大きい場合はその原因を確認する必要があります。

営業外収益、費用、特別損益も特殊要因があればチェックしたいところです。

一過性のものか、数年に亘って計上されるものかどうか。

 

その他在庫、売上債権状況を確認します。具体的には在庫、売上債権の回転期間をチェックします。決算時点での月商(年間売上÷12)で、在庫、売上債権を割ります。

ここで異常値が出ると不良在庫、不良債権の可能性が考えられます。

 

実は私の所属している会社の決算で売上債権に決算時点で大きな数値が計上されました。

通常ベースでは1.2か月分なのに決算期末で約2か月の売掛金が計上されました。これは決算期末にかけ通常月の1.2倍超の売上が計上されたことに加え、海外債権の円安による洗替により積上げが重なったからです。

決算報告ではステークホルダーにその旨を説明し、決算後の月次決算では売掛金水準が通常の値になっていることを伝え、決算時点での報告数値について納得してもらいました。

以前お伝えしましたが、金融機関は決算書を機械に入れて自動的に財務分析を行います。特殊要因については説明しないと異常値については必ずチェックが入ります。

言われてから説明するのではなく、特殊要因については先に説明する方が先方に対しても安心感・信頼感を持ってもらえると思います。

 

決算は経営者の基本方針を示した結果が出ていると考えます。

しっかりと安定経営をしていく姿勢をもっていれば、雑勘定のような不明な勘定科目は基本的には使わないと思います。

 

積極的に投資をして拡大していく時期にはバランスシート(貸借対照表)も躍動します。

経営者がどんな思いでその投資をして、どう変わっていくのか楽しみにも感じたりします。

コツコツと財務体質を改善して借入体質を脱却していこうとしている決算書もあります。

経営者の堅実な姿勢を感じるものです。

低収益でバランスシートにいろんな雑勘定を計上している決算書では、何とかやりくりしているという姿勢が見えますが、取引していくのには心配かなとも思います。

 

決算書は経営者の通知簿とはよく言ったものです。

私には健康診断結果のようにも見えます。

普段からの姿勢にも気を付けていないと、急に改善はできないものです。

 

(脇本裕正)

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