
中小製造業の特許の使い方
2021年2月25日(木)
TNC「モノづくりチーム」担当の弁理士の山本英彦(ヤマヒデ)です。
「モノづくりチーム」は、世界に通じるものづくりをテーマに、現場の標準化、特許、商標などをみていき、「いい会社」を構成する3つの要素、「売れる仕組み」「学習する組織」「組織感情」のうち、
「売れる仕組み」を作る整備を中心に活動します。
私は、とくに、特許や商標、いわゆる「知的財産(知財)」を担当します。
本日は、「中小製造業の特許の使い方」について説明をしたいと思います。
特許の使い方
「中小製造業の特許の使い方」って、「大企業の特許の使い方」と違いがあるの?と思われるかもしれません。
はい!明確に違います。
一般的に特許は「独占」「他者排斥」というイメージが強いと思います。この「独占」や「他者排斥」は、市場が形成されたうえで出てくる考え方です。市場がないと、独占しても仕方ないですし、他者は入ってこないので排斥のしようもないです。
大手企業であれば、資本力にものを言わせて、少々コストをかけてでも商品を作り、宣伝広告をして市場をつくることができます。そして、市場をつくれば特許で独占して利益を得ることができます。
しかし、中小製造業に同じことはできません。なぜなら単独では市場をつくるのが難しいからです。
仲間集め
では、どうするのかというと市場をつくる仲間集めることです。そして、特許は、仲間集めに使います。
例えば、自分たちのアイデアをいち早く特許出願して、技術的に保護された状態で、共同開発する仲間や、販売を手伝ってくれる仲間を探します。
特許をとることで安心して仲間になれるという側面があります。特許がとれれば、アイデアが事業化したときに他社に真似された二ので、市場をつくったときの見返りが大きくなります。
一方、特許を取っていないと仲間と思っていた人に裏切られたりしてしまうこともあります。簡単に言うとアイデアだけを盗まれたりする場合です。
ポイント
ちなみに、この特許の使い方のポイントは、いち早く特許「出願」をして、仲間を探すところです。
特許は登録されないと基本的には権利として成立しませんが、「出願」の状態で置いておくと、仲間とビジネスが進んでいくうちに、技術内容を追加したり、特許を分割したり、特許の出願人(将来の権利者)に仲間を加えたりと、いろいろな特許制度を活用することができます。
特許出願だけ終えて、登録前の自由度の高い状態で特許出願を維持し、仲間集めの状況に応じていろいろな対策が打てるわけです。
まとめ
今回は、特許の使い方の一例をお伝えしました。独占や他社排斥ではなく、市場をつくるための仲間集めに特許を使うという考え方です。
特許の使い方は、企業の置かれた状況によって無数にあります。今後のこのブログでは、もう少し具体的な特許の使い方も、ご紹介していきたいと思います。
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