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「津久井やまゆり園事件」を考え続ける

  2016年(平成28年)7月26日に神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」の元職員であった植松 聖(うえまつ さとし、事件当時26歳)が、同施設に刃物を所持して侵入し入所者19人を刺殺、入所者・職員計26人に重軽傷を負わせた事件について今回は書かせてもらいたいと思います。

 

 現在私は、障害者施設(就労継続支援B型事業所)を経営しております。事件から7年が経過しました。その間、私は「なぜ元職員が…、なぜ…」この事件についての真相を知りたく、この事件に関する書籍やニュースに関心を寄せ、他施設のこので終わらせてはいけないと思っています。

 

①社会の中での生産性とは

 著書を読むと、植松被告は横浜拘置支所収監中、新聞記者の接見で「自分はおおまかに『お金と時間』こそが幸せだ、と考えている。重度・重複障害者を育てることは莫大なお金・時間を失うことにつながる」と主張していました。

 現代社会は生産性のない存在を排除するという思想がまん延しています。

「生産性」とは何でしょうか?社会の中で対価を生むことでしょうか?社会の中でお金を生む仕事をしている人だけが、この社会の中で存在価値があるのでしょうか?

 現在、国、社会は障害があっても就労できる法整備や企業も門戸を広げています。

A型、B型事業所も就労を目的とした施設です。しかし働いて対価を得れる人だけがこの世に存在価値があるのではありません。重度の障害があっても、障害者でなくても世の中での存在価値はあるのです。

②元職員ということ

 施設を運営している立場として、この事件はやまゆり園の元職員が加害者ということはとても衝撃的でありました。

 神奈川県のある障害者施設の施設長は「障害者を排除するという被告の極端な考え方は、施設で働いていたからこそエスカレートしたのではないか」と問題を提起しました。

 職員が障害者を主従関係で扱っているようになれば、「ほかの施設でも起きないとは限らない」といいます。事件の背景には「社会に潜在する障害者への差別意識」があり、もともと社会からの風当たりが強い障害者施設で、さらに職員による障害者の管理が厳しくなれば、「みんな障害者を邪魔に思っているんだ。差別して何が悪いんだ」という虐待の温床になりかねないと、障害者施設のあり方を問題視しています。

 

 障害者施設だけではなく、子ども、高齢者の施設でもこの考えが芽生えてしまうことは十分あり得ます。

 しかし、子どもや高齢者は多くの人が関わりがあり理解していますが、「障害者」となると関わりがない人が多く、知らない人が多くいます。だからこそ偏見が生まれやすく排除の対象になってしまいます。

 

 そのような社会の中で、施設の役割や施設職員の倫理観はとても重要であります。「なぜ自分はここで働いているのか、ここで働く意味、障害者との関わり」を探求し続けながら、仕事をしていかなければいけないと思います。

 また、この事件は社会全体の課題だととらえる必要があります。

 

一般社団法人happy choice 就労継続支援B型事業所ハッピーワーク松戸

代表 白根邦子

 

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