
身だしなみも大事
日本の歴史、特に戦国武将から現代に活かせることを学ぶ。
こんなことを日々考えている、TNCメンバーの新井です。
突然ですが、「花は桜木、人は武士」という言葉をご存知でしょうか?
これは昔放映されていたアニメ『一休さん』でおなじみ、一休宗純というお坊さんの言葉だと言われており「花の中では桜、人の中では武士の散り際が美しくて良い」というような意味があるのだとか。
「武士は食わねど高楊枝」
「武士に二言はない」
「一合取っても武士は武士」
他にも武士が用いられた慣用句には以上のようなものがあります。
いずれも武士とは高潔でかくあるべきというような理想が込められており、傍から見ればやせ我慢に思うような姿でも心は泰然としているという「あるべき武士像」が伺い知れる言葉ではないでしょうか。
このような武士像あるいは後年に語られた武士道を見ていくと、外面より内面を重視、ともすれば内面さえしっかりしていれば外面は二の次三の次…というような場面がちらほら出てきます。
一休さんの時代と恐らく江戸時代以降につくられたであろう言葉を見てきましたが、その間にあたる戦国時代の武将の言葉をここでひとつ。
内面からではなく外面から武士としての道を歩め、というこれまで見てきたものとは逆にも思える主張ですね。
このような言葉を家臣たちに残したのは、蜻蛉切という長槍を使い戦場を駆け抜け、その生涯において57戦して一度のかすり傷も負わなかったという猛将・本多忠勝。
最強の戦国武将の一人に挙げられる忠勝が「身だしなみもきちんとしなさい」と言っていたこと、ちょっと意外に思われるかもしれません。
もちろん、忠勝は内面を蔑ろにして良いといっているわけではなく、志があり武芸に邁進するのが武士としての本分としています。その上で、外見を意識することにより
・外見(あるいは話し方)からその人の本質がにじみ出ることに気づく
・狩衣(普段着)の時と具足をつけた時の心持ちの違いも意識できる
このような利点があると説いています。
さらに、忠勝が付け加えたのは「ひと目見ただけで、本多家の人間だとわかる振る舞いをせよ」という言葉。
これは、立ち居振る舞いで「さすが本多家の者だと尊敬されるような、あるべき家臣像を全員が目指すべきだ」というレベルの高い要求かもしれませんが、私の家臣たちならできるはずという忠勝の期待も入っているように思います。
現代社会に置き換えてみましょう。
社会貢献活動やSDGsなどへの取り組みに力を入れるのも良いですが、まずはトップも部下たちも個々に内面(研鑽・教育・能力アップなど)と外面(身だしなみ・言葉づかいなど)を意識して整えるのが先。その結果、良い意味で「ああ、あの会社の人ね」と世間に認識してもらえるように行動するべきだ、といったところでしょうか。
何年か前からレピュテーションリスクなる言葉も使われ、SNSなどで投稿されれば瞬く間に会社の評判が下がっていく恐れもある昨今。くれぐれも、
・社員証などを首からぶら下げながら自社や他社の悪口を言う
・会社の名前が入っている車で荒々しい運転をする
このような行動をして、悪い意味で「ああ、あの会社の人ね」と世間で言われないよう日頃から心がけましょう。
中身も大事だが、見た目も大事。
当たり前のことに思えますが、どちらかに偏らないようバランスよく磨いていきたいものですね。
「いい武将」研究会 新井良典
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