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個人と組織の影響力

こんにちは、人づくりチームの成戸です。

以前の私のブログでは従業員個人の能力を高める話や行動変容を中心に書きました。これはとても大切なことですが、成長した従業員が映画やテレビドラマのようにスーパーマンに変身し、たったひとりで会社組織の大きな課題を解決するようなことは現実には少ないようです。個人の能力を高めるだけでは組織のパフォーマンスを高めるに少し足りません。

そもそも組織は人々が集まり役割分担をし、各々が得意分野を担うことで相乗効果を生み出し目的を達成しようとする、その機能を期待しています。

実際の現場で機能がきちんと働くようにするためには、自分の担当箇所のみ働けば十分とはならず、同僚とコミュニケーションをとり、相手の仕事を手伝ったり、支援すること、個々の従業員がお互いに思いやりを持つ「繋がり」が求められます。

一例として現在、医療業界では医師の時間外労働を削減するための手段としてタスクシフトを行政が推奨しています。医師は医師しかできない仕事に専念し、その他の仕事は補助作業者が行うことで医師の残業を減らそうとしているわけです。

ただし、いくら保険点数によって報酬を国から保障されているとはいえ、経営である限り人を無尽蔵に増やして人件費をふくらませることはできません。

そして、現在想定されているタスクシフトでは、タスク(仕事の1部分1つ1つ)を医師から補助者へシフト(移行)させる一方通行になりがちに見受けられます。

タスクを一方通行に任せるということは安易な職員増加につながりかねません。

そして不思議なことに、職員数を増やしても仕事の忙がしさが軽減されない(時間外労働が減らない)現場を見ることもあります。タスクシフトさえ導入すればよいわけでは無い、と気を付けるべきです。なぜこのような事が起こるのでしょうか?

私は現在、ある医療機関を少しだけお手伝していまして、ちょうど数日前のことですが、その事務長さんと医師の労働時間削減について話し合っている際に、私は組織文化についてのお話をしました。

「お互いに支え合う、お互い様の意識を組織文化・風土として醸成してゆく必要がある。『医師を含めて』。」

すると、事務長さんはこう答えました「実は最近、病院長と私と看護師長で毎日、各病棟を見て回ることを始めました。」「現場の様子を見て、職員に話しかける機会を設けています。」とのことで、私は「いいですね!」と感心しました。

そして「私は師匠から『背中に声をかけられるような人になりなさい』と言われました。皆さんも、これを心掛けてみてはいかがでしょうか。」とお伝えしました。

冒頭に述べたように、組織内の仲間をお互いが支え合うことで働きやすくなり、結果として効率的な働きかたや、仕事への合理的な対処について気付き、その方法を共有し試行錯誤する先に望ましい結果が生まれるのです。そのための初期段階は、お互いにコミュニケーションを取り合い、互いを知り、職場の同僚として認めるレベルからスタートすることです。

支援先の医療機関の規模は職員数500人ほどであり、普段から意識しない限り、診療科や場所によっては1年に1回も会話をしないような可能性のある職員が出てしまう可能性がありました。そのため、大切にしたい言葉ひとつを組織全体に浸透させるにも、とても気を遣わなけばなりません。

今回は「お互い様」1点のみに組織文化を絞りましたが、組織として大切にすべきこと、大切にしたいことは幾つかあるはずです。会社によっては理念や行動指針になっているかもしれません。それを共有し、現場の言動に染み込ませる。

もちろん「困ったときはお互い様!」が生まれ育った環境で既に身についている人もいれば、そうでない人もいます。自己利益を最優先にすべしとした文化圏で育った人もいるかもしれません。このあたりが個人の能力(情意)による組織への影響となります。

その反対に、組織が醸し出す風土、時には先輩方が培ってきた企業文化が同調圧力として作用し、従業員の言動を制限したり、行動変容を促すこともありますし、先程の理念や人事評価制度による「自社における従業員のあるべき姿」として、意識的に教育をすることもあると思います。

従業員同士の影響を与え合う様子を観察し、良い影響を与えられるよう工夫することも大切です。

また、人は思いのほか環境に影響を受けています。できれば良い影響を与える組織でありたいものです。

まとめると、従業員も組織も(その環境も)双方に影響を与えています。これを意図をもって扱うことが大切です。

今回の事例は医療機関でしたが、どのような業種でも一部の従業員に仕事が偏り、一部の従業員に長時間労働が発生してしまうことはあるでしょう。また労働時間に限らず、例えば同僚は困っているときに体を動かして手伝う、知恵を出し合う、励まし合う、時には諫めたりもする、といった「互いを尊重し合い、仕事の緊張感もありながら穏やかな温かさもある」そんな職場・会社を目指すうえで、そのヒントとして従業員と会社の影響力について考えていただきたいと思います。

(成戸 克圭)

ブログ「なると社会保険労務士の日記」1800記事掲載中 http://gifusr.sblo.jp

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