
書籍「奇跡の会社」出版記念:カリスマ創業者の影を越えて「奇跡の会社」は成った
本書の著者で、株式会社障がい者つくし更生会(以下「つくし更生会」)専務取締役の那波和夫さんがおっしゃるに、創業者である小早川茂夫さんが率いていた頃のつくし更生会というのは、小早川さんの人徳で成り立つ会社だったそうです。
何をするにも、どんなときでも、社員は小早川さんを頼るし、相談する。
御自身も障がい者でありながら、会社を立ち上げ、仕事を受託するため行政に掛け合った小早川さんにはそれだけのカリスマがあったということでしょう。
一方で、中小企業で働いたことのある人ならわかると思いますが、こういった会社は創業者がいなくなるともろい部分があります。
これまで組織内の問題解決をしていた人がいなくなるわけですから、組織内で問題が起こったときの対処が難しくなりますし、創業者からすると自分のひと声で問題が解決することが逆に徒となり、社内の組織化が上手く進まないことが多いからです。
言うなれば、以前のつくし更生会というのは、典型的な創業者経営の会社だったわけですが、そうした状況の会社を継いだのが那波さんでした。
自分は社会保険労務士という仕事柄、創業者経営から世代交代していく会社というのをいくつも見てきましたが、先ほど述べたような事情もあり、みなさん一様に苦労されています。
前職では営業畑で、つくし更生会入社当初は幹部候補ですらなかった、那波さんにしても、それは同じだったことは想像に難くありません。
だからこそ、本書の執筆に関わったものの一人としては、特に、後継者として会社を経営している人や、これから事業や家業を継ぐ予定のある人にこそ、読んでもらいたい。
本書で述べられている、つくし更生会の特筆すべき経営内容のほとんどは、那波さんの代で確立されたものですが、そういう人たちにはきっと、奇跡のように見える内容のその裏側に、地味で地道で、時にもがき苦しんだであろう、様々な苦難が想像でき共感できると思うからです。
(川嶋英明)
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