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入社4ヶ月で退職は「ヘタレ」か?!

TNC理念チーム  小西 雅

皆さま、こんにちは! TNC・理念チームの小西と申します。

私は生まれてから現在まで、兵庫県と大阪府で過ごし、関西以外に居住したことがありません。

関西ではよく、「ヘタレ」という表現が使われます。

最近は、芸人さんのおかげで少しずつ全国区になりつつありますが、標準語で意味が近いのは、「意気地なし」「根性なし」「弱虫」といったところでしょうか。

自虐的に使うこともありますが、「アイツはヘタレや!」などと、他人に対して使われることが多いです。

前置きが長くなりましたが、こんなエピソードがあります。

専門学校に通っていた女子学生が卒業し、念願だったゲーム会社に就職しました。

担当は音楽制作、空いた時間で接客や雑務もやります。

ところが彼女、入社後わずか4ヶ月で退社してしまいました。

原因は人間関係、それも些細なことです。

毎朝、同僚や先輩社員に「おはようございます!」と声をかけても、誰からも反応がないのです。

あいさつは社会人の基本、どんな人とも挨拶は交わすもの、と思ってきた彼女にとって、無反応はとてもショックでした。

自分が否定されているのではないか、この会社に居る価値がないから、挨拶してくれないんじゃないか? と執拗に自分を責めるようになり、精神的に疲労してしまい、体調にも影響が出てしまいました。

念願の職種に就けたのに、4ヶ月で退職。

さて、彼女は「ヘタレ」でしょうか??

実は、この彼女こそ、××年前の私なのです。

私はこの体験で深く傷つき、自己肯定感は完全に消滅、その後の就活や人生設計についても自暴自棄になってしまいました。

そして出口を探すべく、メンタルヘルスや脳の認知機能、心理学などに関心を持つようになりました。

大変長い時間を要しましたが、紆余曲折の末、「出来事」に対する認知や解釈が、かなり変わりました。

ですから今なら、もし同じ状況に出くわしても、まったく違う対応をすると思います。

挨拶が返ってこなくても、「そうか、わかった。挨拶が苦手なんやね。でも私は、みんなに挨拶だけはしたいから、イヤかもしれんけど、声はかけるで」と、心の中でつぶやくでしょう。

そして、相手の反応に関係なく、「自分が声をかけたいから」、みんなに挨拶をします。

当時の私は、社長にも嫌悪感を抱いていました。

挨拶が返せない従業員に対して、社会人としての教育ができていない! なぜ注意をしないのだ!と思っていたのです。

でもこれって、自分が挨拶を返してもらえなかったことに対する、当て付けですよね。

こちらも、今はまったく逆の考えです。

コミュニケーションの苦手な人が、挨拶や声の大きさを強要する会社に入ったらどうなるでしょう? 

それこそ、大変なストレスになるはずです。

しかし、この社長さんは、コミュニケーション力よりも、会社に必要なニーズを把握していて、技術のある人材を採用し、業績を上げていたのです。

挨拶の苦手な人が、挨拶を強要されない会社で能力を発揮できるのですから、素晴らしい社長さんではないですか!

今、私が当時の自分や状況に対して思うことは‥‥

「誰も悪くない」です。

もちろん、もう少し自分のメンタルが強かったら、理想的な人間関係を構築できていたかもしれない、ヘタレな部分もあったなぁ~、とは思います。

一方で、それまで知らなかった「あり方」が、一挙に多数派になったのですから、馴染めなくて当然だった、とも思います(ちなみに当時、まだヲタクという言葉はありませんでした。ある意味、コミュニケーションが苦手な人の社会的認知、アイデンティティーは、低かったと言えます)。

人格否定されたと感じて、辛かったし、苦しかった‥‥。

辛いのは、自分が良くなりたいと望んでいる証拠、私にはまだ向上心がある、だから希望もある‥‥そう信じて、前に進みました。

私の場合、この考え方の変化には、かなり長い時間がかかりました。自分のバイアスに気づき、受け容れ、思考のクセを変える努力はしました。

ですがこれ、別の言い方をすると、「考え方だけ」しか変わってません。外的環境は同じです。

トップダウンや何かの圧力で、制度や会社が変わったわけではありません。

書籍、セミナー、セラピーに多少のお金を使いましたが、寄付金も賄賂も積んでません(笑)。

自分の認識が変化したことで、日々起こる出来事、人間関係への解釈が変わったのです。

コロナ禍で、これまで無理・難しいと言われてきたリモートワークが、ごく当たり前になりました。

これからは、もっと個人や個の特性が尊重される時代になるでしょう。

多様な個性や考え方を受け容れることで、会社のあり方、社会への貢献度も大きく変わっていくのではないかと感じています。

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