清水吉政(褒めて伸ばし、名将を生む)

清水吉政

(生年不詳、通称・小太郎。後北条家に仕え、二代当主・北条氏綱の子である北条氏康の傅役を務めた。1530年、氏康の初陣である小沢原の戦いにも従軍、急襲により扇ヶ谷上杉家を破る大勝に貢献した。)

小田原を拠点に繁栄した北条氏。後に三代当主となる氏康は、年少時の評価が驚く程低い人物だった。
氏康が十二歳の時、家臣の武術調練に立ち会う機会があったが、その迫力に驚き家臣の前で失神してしまう失態をしてしまった。我に返った氏康は、
「北条氏を継ぐ立場の自分が家臣の前で恥を晒すとは情けない。」
と自害を考えるまで落ち込んだ。そんな氏康を見て、吉政は近づいてこう言った。
「昔から優秀な者ほど物事に対して敏感で、些細な事にも鋭く反応するものです。初めてのものに敏感に反応することは恥ではありません。大切なのは心構えです。」
吉政は、才能はあれども自信のなかった氏康に対し「褒めて伸ばす」教育方針をとった。
褒めるか、叱るか。選択とタイミングを見極めることが大切であり、氏康にとって欲しい言葉を欲しいタイミングで吉政は与えた。この後、氏康は心構えの大切さを胸に、名将としての道を歩むこととなる。

清水吉政