【ドイツ医療制度と日本の医療】いい病院研究会 第3回公開講座開催しました。

今回はドイツの医療制度について勉強しました。

〖ドイツ医療制度と日本の医療制度〗 比較とヒント

今回も「NPO法人 医桜」代表の溝口博重氏にご登壇いただきました。

ドイツの医療制度の原則

ドイツは社会保険方式であり2009年から全員加入の原則となった。

国民の85%が公的医療保険(労使折半)に加入している。その他一定の収入がある人は民間医療保険(プライベート保険)に加入している。プライベート保険に入ると公的保険には戻れないシステムである。一定の収入がないと入れないと法律できまっており、富裕層が入っている保険である。公的医療保険は疾病金庫という統一保険料の保険である。

ドイツの医療制度

ドイツは開業医と病院は別の組織である。ドイツの医者は病院に勤めている人は外来をしてはいけないと法律で定められている。ライセンスが違う。

各州の保険協会に総額支払い。日本でいうと各都道府県に保険料をまとめて「今年これだけの医療費かかるよ」と予算が最初に決まり、「その予算の中でやってね」という仕組みである。

つまり、前年度より圧倒的に患者が増えると予算割れしてしまう。

多く患者が来てしまい予算割りしてしまうと、その保険に入っている人に追加の保険料徴収があるか、医者の報酬を減らすかの2つしかない。

医者の報酬が減らされると生活ができないのでドイツの医者はストライキをすることがある。

病院はDRE患者が何人いるかでお金が支払われる。

民間保険の人たちは一部プライベート診療所で診てもらう。

ドイツは外来、入院、薬局は別

日本の場合は病院の中で外来をやったり薬を出してくれたりするが、ドイツの場合は、外来、入院、薬局はバラバラで同じところでやってはいけない。

基本的に診療所に医療機器はない。患者がかかりつけ医に初診を頼む。

ドイツの場合、お金の支払い方が特殊である。かかりつけ医に初診にかかった場合、四半期に一回10€払う。例えば1月~3月の間に一回でも診療所にかかった場合は自己負担として10

€払う。ただしこの間は何回診療に行っても10€である。

ドイツも、以前は日本と同じようにかかりつけ医制度はなかった。好きな時に好きなところに行ってよかった。そのため、ドクターショッピングでいろいろなところへ行ってしまい、それを止めさせるため、家庭医制度が始まる。しかし、そこに行ってもいいが、紹介状なしで行くとその都度10€払わなくてはいけないため、国民は反対した。

かかりつけ医は3か月間何回行っても10€だが、紹介状なしによその医師のところへ行くとその度に10€払わなくてはいけないため、9割の人はかかりつけ医に行くようになる。

経済的なインセンティブをはっきりさせることによって大多数の国民が制度を使うようになっている。

かかりつけ医に紹介状をもらい開業の専門医や総合病院、より高度な大学病院で治療を受ける。そして処方箋をもらい薬局で薬をもらうという形である。

日本でいう「地域包括ケア」の目指すべき姿のひとつであるのではないだろうか。役割分担していこうということである。

患者負担について

基本的に18歳まで無料である。

地域医療機関ごとに半期10€を払うと何度かかっても費用は変わらない。

入院の場合は一日あたり10€支払い、上限年間28日分(自己負担280€まで)であり、後は保険で全部賄ってくれる。

処方箋の場合は、定額制である。複数の薬が出されても10€以上払う必要はない。

薬は医療費抑制政策の一環としてジェネリック医薬品が出る。

便利性

フリーアクセスだが予約していく。

ヨーロッパ全域では風邪程度ならば行かない。行っても「水飲んで寝なさい」と言われる。

ドイツの開業医は時間外には診ない。水曜日の午後、土日は休み。輪番制でやっている。

そして権利として、長期休暇2週間づつ2回(計4週間)を交代で取得している。

救急車

一律有料である。救命士、看護師、救急医等が同乗しているか否かで金額が違う。

疾病金庫により安くなるところもある。ドイツは救急車を呼ぶと400~1000€は取られる。

電子健康保険証

2012年から健康保険証がIC化となる。データー管理の権限はユーザーがある。

データー管理の権限は個人にあるという考えで、自分の健康情報は自分で管理する。

【質問】

Q,ドイツの薬を扱う人、薬剤師の役割は?

A,薬剤師、補助、医薬品取り扱い販売員。日本のように服用時刻や食前・食後、何日分など親切な記載のある袋ではなく、何十錠も入った薬箱ごと渡される。薬局では服用についての詳しい説明がなされないので、医師に服用の仕方・留意点について聞く必要がある。

Q,18歳までは無料だが財源は?

A,疾病金庫である

Q,ドイツの家庭医の位置づけは?

A,疾病金庫は選択タリフというのがある。この中に家庭タリフがあり、早期に予防して重症化をしたときのオプションを選んでいる。9割の人が選んでいる。

疾病金庫について

疾病金庫は「医療基金」「選択タリフ」という2点で競争に転換し、同時に疾病金庫が特定の保険医療や保険医グループと診療契約を結ぶ。 製薬企業と医薬品割引契約を拡大する選択タリフを導入すること等が認められ拡大していった。

基本のコンセプトは、フランスと同じく「連帯」である。疾病金庫を保険者とする。日本でいう市町村国保及び協会健保である。基本タリフに加え、それぞれ保険料を負担することで追加プログラムを選択することができる。疾病金庫が黒字であれば被保険者への配当もある。

赤字の場合は徴収される。赤字にならないように家庭医の役割もある。

国民は、自分の加入する疾病金庫を選ぶことができる。

【質問】

Q,日本のような健康診断を提供しているか?予防は経済的効果があるか?

A,保険料償還たりきであり、きちんと検診を受けきちんと予防しても病気になった場合一部を返してくれる。

予防の有効性について、「予防、リハビリ、介護」を明確な優先順位をつけている。

まず一番は予防、次にリハビリ、そして介護の順位である。介護を優先するような状況にしてはいけないという経済性を重視している考えである。

Q,保険料を上げないで税金を投入するのか?

A,保険料を上げると企業の競争率が下がる。 企業の競争率が下がると雇用が確保できなくなるため、保険料を上げることはドイツ政府としては承認したくない。

税金を入れるということはあまり重要ではなく、雇用の確保である。事業者の負担を増やすことはやらない。ドイツの経済政策の一環の中で税金を入れているのであり、医療政策が軸ではないというのが特徴である。

ドイツの医師について

日本の医師は32万人。ドイツは44万人。

働いている医師の数31万人。13万人は医師の資格は持っているが働いていない。

伝統的にドイツの医師の給与は安く、収入が割にあわないということで、4人に一人は医者を辞めて、医師以外の職につく人が増えて困っている。

ドイツの医師は勉強ができる人ではなく個人の資質で決まる。

ドイツの医師は出来高制ではない。 保険業界で決まっている範囲を分配する形で出るので、頑張っても給料は上がらない。ドイツ人は、プライベートと仕事は切り分けたいと考えているため、医師という仕事自体、人気がなく、開業医はもっと割が合わないと考えられている。

開業医の平均年商24万€(人件費50%,税金30%、年金7%、医療保険3%)

勤務医の年収 77,951€(手取りは6掛け)

主な日本との相違点

1、保険が高齢者まで突き抜け方式

→日本の場合高齢者になると医療費が安くなる。ドイツは老若男女一緒である。

2、ドイツの疾病金庫が日本の保険組合と異なる点は、加入者の疾病金庫による選択権である

→気にいらないところは辞めてもいい。赤字のところは辞めて黒字のところへ行ける権利がある。

3、医療者や病院への支払方式が異なる。

→例えば日本でいうと県で一括し、外来の医療費が払われて、その中で総量は見ない。

決まった中で分配する。そこが予防のきっかけになっているとみてもいい。予防してたくさんの患者が来ないようにする。

4、民間医療保険や株式会社病院など民間の役割が大きい点

→富裕層は民間保険に入る。 医療の質を担保することによって、株式会社が入ってもおかしくならないため、民間の資本でつくっていくという考えである。

【質問】

Q,講師の思う今後の日本医療は?

A,抜本的な改革をしようと思ったら、クオリティーの部分は少しやっていかないといけないのではないか。日本は医療費の無駄もあると思う。診療する必要があるのかと思うこともある。抗生剤に関しても出す必要がなくても出しているという現状もあり、出す必要がないと処方している人は理解しているのに、患者が欲しいから出しているという現状もある。セーフティーネットとして医療を考えたらそれは違うのではないかと思う。どこの国も連帯であり、困っている人がいるから皆でお金を出して助けよういうのが医療制度の根幹にあるが、いらないけど欲しいと言っているからあげるというのは、医療制度のコンセプトとずれているということと考える。

患者の欲求も年々高まっているので、医師だけの自助努力だけでやれというのも難しいので、国なり第三者機関がきちんとやり、適切な医療をやっている医師をきちんと評価するというような方法の努力が必要である。クオリティーの部分ではやるべきである。医療費が増えていると言われているが、医療費を抑制することが結果として患者のメリットになるのであれば政策でやってほしいことであると考える。

anket

いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果いい会社第4回浜松勉強会アンケート結果

Follow me!