2016年6月21日(火) いい病院研究会6月定例会開催しました。

2016年6月21日(火) いい病院研究会6月定例会開催しました。

今回は溝口氏にご登壇いただき、ステークホルダーと病院との関わりについて議論しました。

テーマ「医療をよくするためのステークホルダー」について

現状
・国は、病院を今の1/3に減らしたい、ベッド数を減らしていく方針である。
200床以下の中小病院はなくてもいいという考え方。
・病院は、年間50ずつ減っている。国は診療報酬を減らし、儲けが出ないようにしている。
・実際は、経営難から病院をやめ、20床以下の医院に替えているケースが多い。
・高齢者の利用者が多いが、応分の負担をしていないため、医療費がかかりすぎている。
・貯蓄率の低い人ほど、酒、たばこ、遊行費にお金を使い、健康を維持する努力をせずにきたため、医療にかかっている現実がある。
・1989年当時、平均寿命76歳と想定したが、5才伸びている。
5才寿命が延びると年間13兆円拠出する。

<病院に関わるステークホルダー>
医療従事者(病院)と次の1~5が関わっている。
1地域社会・住民⇔患者
2行政機関
3医療・介護施設
4銀行や取引先
5メディア

<病院>
・医療従事者の中でも、医師・看護師(その中にも看護部長、看護師長がいる)がいて、病棟・
さらに内科・外科など診療科もいろいろあり、考え方も違う。
このように、病院の中にも、それぞれの専門家がいて、提供(やりたいこと)、要望(やってほしいこと)など、様々な交渉事が発生する。

<メディア>
・メディアの影響も大きく、メディアからの情報発信の影響で患者が病院を選んでいる。
またメディアは、不安をあおり、医療のマイナス面を表に出すことが多い。その理由としては、まともなことを書いても売れないという現実がある。
一例として、新薬に対し「副作用があるようだが、飲んで大丈夫なのか?」という情報を流す。
・正しい情報を出していく必要がある。

<行政>
・行政機関は、情報発信をして関わろうとしているが、病院-地域社会-行政間のやり取りがうまくはいっていない。
・病床機能によって役割を決めようとしている。手術・リハビリ・療養・在宅医療を別々にする。
病院間での話し合いをし、役割のすみ分けが必要。
・行政側の議員の意見と国からの指示があるため、連携が取りづらい→行政がある程度それらの交通整理をしていかないとうまく機能しない。地域社会に情報がうまく下りず、患者は被害者意識が強くなり、権利意識が増大し、議員や行政に話しをするため、うまくいかない。
・町興しには、医療と介護が入っていないことが多い。

<銀行>
・年間50ずつ病院が減っている中で、国は7:1という急性期病院が多いので、10:1にして
地域包括ケア病院をワンランク下のものにしたいという方針である。
しかし、銀行からすると事業計画上、7:1だからお金を貸しているのであって、収入が落ちるような変わり方をされたら困る。そのため、病床変換での銀行との交渉が結構大変である。

<地域社会・患者>
・患者も地域社会の中でよく考え、勉強する必要がある。
・患者教育として、お金の使い方を学ぶことが必要→病院にかかるためには、キャッシュが必要。年をとり、病気になったら、貯蓄が必要であることを学ぶ。
・がん保険など民間保険はあるが、加齢によって病院に入るとき下りる保険はない。
・若いときから健康維持するための自助努力をしてこなかった人が医療にかかり、財源を食いつぶしている。その予備軍もたくさんいる。
・患者教育として必要なこと
1差別をしてはいけない
2福祉はすべての人に平等
3応分の負担を各自がする

*1977年までは、高齢者の医療費は無料であったが、厚生省が主導で0から1割負担にした。
財源はないが、老齢年金を減額し、医療保険を70歳以上は増額することについては、政治家はこれを掲げると選挙に当選できないので、誰も言わない。

・同じ地域内での民間病院の連携がうまくいかない→急性期病院が多いため、患者が被り、取り合いになる。それぞれの懐具合も違うため、連携することは難しい。
・行政側の指導が入るが、10年後、20年後の医療を正しく理解していないため、ミスリードがある。
・患者の受診態度がとても悪く9割に問題がある。「治していただく」という謙虚さがない人が多い。
・特に男性患者にしゃべらない人が多い。
・いやがらせとして、病院内での備品の盗難や物を壊す人が多い。画鋲や針などがないか椅子を
朝ガードマンが点検をするという現状もある。
・若い人は、病院にかかることがあまりないので、関心も低い。
<現状の問題>
・看護師のバーンアウトは社会問題である。→看護師協会では、看護師の地位向上のためにいろいろやってきた結果、過重労働になってしまっている。
近森病院(高知)では、専門性を高め残業がない働き方にしているため、給料は安いがストレスは少ない環境である。そのため、スタッフが辞めない。
・病院のかかり方は学校では習わない。→患者の態度が悪い。
・患者憲章のような分かりやすい形で、患者教育をしていく必要がある。→患者憲章は、病院審査機構では、それを掲げていると点数になる。ただ、憲章を掲げていても、職員が知らない場合も多く、企業のように理念の浸透がされていない。また掲げてはいても、医療者側が組織としてどれだけ責任をとってくれるかは、その病院によりまちまちである。
・無医村地域のために、医療にかかれないという理由で、都市部(東京、大阪、名古屋)に移住している65歳以上の人が増えており、東京中央区だけでも17%いる。
・患者は、自分自身の病気に対して、自分がどう努力をするかではなく、どんなサービスを受け取ろうとか、賢い消費者にどうなろうと考える人が多い。相談内容が食い違っている人もいる。(医師の立場からの意見)

<まとめ>
・ステークホルダーそれぞれが、医療という社会保障の中で、誰が負担して、どう責任を持ってやっていくのかということがあるにも関わらず、今までは自由に使える財源のようにやってきて、資源が減ってきてしまっている。それに対して、危機感を持っていないことが一番の問題である。
ここの整備をしていく必要がある。全体的に底上げしていくための仕掛けづくりが大切。
・ITやイノベーションを興すなどして、患者全体の知識を上げて考え方を変えていく必要がある。
・医療に代わり、健康管理や健康維持ができるようにしていくことが必要。
・患者側も応分の負担をしていく必要があるのではないか。(高齢者の医療費負担が少ない)

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