いい病院感想文まとめ 聖隷三方原病院

・今回聖隷三方原病院様を訪問して、最初に珍しい光景を目にすることができました。それは玄関で車を誘導し患者様を案内するサービススタッフがいたことです。これは私も初めて見ました。病院には体の不自由な方やお年寄りがたくさん見えます。このようなスタッフがいて案内してくれるだけでなく、車いすや歩行車の準備までしてくれればとても安心して車からの乗降ができます。患者様本人にとっても家族にとっても安心なサービスだと思いました。また車いすの数の多さも目を引きました。

 

・通常では、病院見学はできる機会が少なく病院の規模が大きく異なるにせよ、学ぶべきことが多くありました。 具体的には、玄関に「患者の権利と義務」が掲示されていること。 この内容については、説明があったように権利を主張するならば義務を果たすべきと。 ただし、この解釈としては必ず患者様へ要求するのではなく協力してもらえる関係づくりを常日頃から心掛けている。であるからこそ、押し付けではなく相互理解の上で成り立つ関係が必要と感じました。もちろん患者様の協力なしでは既往症や生活歴もわからず、最善の治療手段の選択もできないし、治療の方向性や今後の予後予測も困難となるため必ず必要であるとは感じます。

 

・医療は、患者と医療者が協働し行うことで、最善の医療サービスが提供されるという考えで、患者の果たすべき義務も明確にしています。 自分の病気に対して、医師の判断にすべて任せるのではなく、主体的に関われ、自分の意思も尊重される医療は、患者にとって安心でき、心豊かに病気と向き合えます。 このように、いつも「よりよい医療とは」を考え、患者を大切にし、かつ満足を得られる医療を受けられるような配慮がされており、病院側、患者側の相互のよりよい関係づくりが行われていると思いました。

 

・患者に明るい病室で過ごしていただこうとする姿勢や、不安を抱えている人々がお互いの気持ちを共有でき、孤独感を無くせるようにと取り組まれている「じゃがいもの会」や、心のケアとして相談所を用意したり、家族団らんのための部屋を用意しており、更には部屋代を頂かない場所もあると聞き、経営が病院の枠を超えて世のため人のためになるように行われている点に非常に感心しました。

 

・利益を追求するのではなく隣人愛という理念のもとに組織が運営されているからこそ存続しているのでしょう。利益ばかりを追い求めたのでは、職員も嫌気がさしてきますし、ずっと右肩上がりの企業なんてありえません。職員の求めるものは、生活をしていく上でどうしても賃金が必要になってきますが、そればかりではなくやりがいだったり達成感・使命感、社会への貢献だったりします。私も同様に医療法人に勤務しておりますが、やはり賃金だけが目的ではなく、達成感や使命感、人の為になりたいという社会への貢献といったところが大きなウエートを占めております。

 

・今回、お話を聞いた中で特に印象に残ったことが、「誰もがやりたがらないことであってもそれが必要なことであるならばやる。」という言葉でした。例えばホスピスも赤字部門とのことでしたが、それが癌で最期を迎える人にとって必要か、必要でないか考えると穏やかに最期を迎えた本人とその家族の様子をみれば答えは明らかです。採算があうかあわないかの視点(もちろん重要なことですが)だけで判断しないことには頭が下がる思いでした。「聖隷の起源である貧しくて結核を病み行き場を失ったひとりの青年のために、数名のクリスチャン青年が力を合わせ、小さな病舎を建てました。それが社会福祉法人聖隷福祉事業団の始まりです。」とパンフレットに記されていますが、その精神が脈々と受け継がれていることを感じました。ドクターヘリや快適な療養環境、最先端の医療そういったハード面ももちろん素晴らしいですが、それだけでなく「隣人愛」という理念が職員一人ひとりに根付いているのだと思います。

 

・事務次長の山田さんが丁寧にいろんな質問に答えて戴いた。いろんなやり取りで思ったのは、先駆的な取り組み(例えばホスピス病棟、ドクターヘリ、重症心身障害児施設、104床の精神科など)はどのように発案され、実行されていくのか。しかも他の医療施設では経営効率的に敬遠されがちだという。それははやり院長はじめ、スタッフが隣人愛という創設の精神、1930年長谷川保さんたちクリスチャン青年の粗末な小屋に結核患者を温かく迎え入れたという、社会的な困難者ために役立とうという、社会的企業家精神なのだろう。「地に落ちた一粒の麦にも似たその隣人愛の精神は時代が変わっても私たちの心に脈々と受け継がれています」と聖隷精神そのものなのだと理解できた。

 

・病院というのは行くだけでいくらかのストレスが掛かる場所です。ましてや、その入口、玄関というのは、もしかしたらそのストレスがピークに達する場所かもしれません。少なくともわたしにとってはそうです。そういった場所で自動車が渋滞したりして待たされるのはたまったものではない。しかし、聖隷三方原病院では、その玄関に彼女たちのような存在を置き、できる限り来院される方がストレスを溜めることのない体制を敷いているのを見て、ああ、この病院は他とは違うのだと直感できました。

 

・案内された病棟も4人部屋でありながら、どの入院ベットからも外が見られる窓があり、視野の広がる構造に設計されており、ドアはオープンで解放的でした。 患者さんの気持ちも先に進める明るさが導き出されるように感じ、居るだけで元気が取り戻せるような気がしました。 このような医療機関に罹れる患者さんが羨ましくなりました。 受診する側をこのように見守っていただけるのですから、受診者も謙虚な感謝する気持ちを忘れないことが大切とおもいました。

 

・今回訪問させて頂いて感じた事として、まず患者に対しての環境の配慮が挙げられます。ドクターヘリはじめホスピス等安心して医療が受けられる環境が整っているという点。特に赤字が出るという事を覚悟の上で、ホスピスにも取り組んでいる事は特徴的で人を大事にする姿勢をお伺いする事が出来ました。 特に隣人愛という理念を持っている事。それを実践している事。 それに対して患者の権利と義務も挙げている。双方によい環境を整える工夫がされているのではないかと。