お話をお伺いする前にもホームページ等にあった資料や、予習資料を読んでいましたが、お話を聞いてから読み返してみると理解度が全く異なりました。「流れ」を想像しながら読むことができたことで、病院という存在が変化していることがより理解できました。

・近森病院の理念には「地域」という言葉が2度出てきます。「患者さん」ではなく、「地域」というところからも院外の「流れ」を感じました。反対に、近森会グループの理念では「患者さん」と「スタッフ」という人は出てきますが、「地域」という言葉は出てきません。グループの理念が医者と患者との「在るべき姿」を描き、このグループの理念に基づき近森病院の理念が「流れ」を意識した景色を描き、各系列の病院がその景色の要所要所に関所の如く存在しているように思いました。

この「流れ」の考え方は、一般の企業でも応用できることで、グループとしてどんな機能を持たせて何処に何の機能を配置するのか、仕入先との連携もどのような形でとると最もアウトプットが増大するのか、ということを一つひとつ考え、「堤」をつくって流れる量と方向をコントロールしていきたいと思いました。

また、「流れ」を作っているのが管理部門という社内サービス部門であるところにも、理念を同じにする「誇り」を持つきっかけを与えていると思いました。

・人を大切にしている職場だと思いました。適材適所とよくいわれますが、それを個人という「人」の中で行っているところがすばらしいと思いました。その人が最大のプロフィットを出すためにはどういう状態が最も良いのかを考え、その人でないとできないところにプロフィットを集中させているのは、とても理に適っていると思いました。元々お医者様は、ローテーションをする職業ではないので、スタッフを流動的にさせることで、倦まないようにしているのかとも思いました。一般企業にも「キーマン」と言われている人達がいて、どうしても重要業務はその人を絡ませることになりますが、今回教えて頂いた業務の選択と集中を行うことで、より高いパフォーマンスも可能になると思いました。

何が大切なことで、何が自分の病院でなければできないことで、何が他の病院でもできることなのかという、ともすれば「全て」になりがちなところを、任せるところは任せるという大きな視野での選択と集中も、理屈だけではなく実行されていることがすごいと思いました。「とはいっても・・」と実際に実行できないことを沢山見てきた中で、覚悟をもって進まれていることが患者さんだけでなく、働く人も守っていることにつながっていると思いました。

・「いい病院」とは、未病に力をいれている病院や、安心させてくれる病院と考えていましたが、それよりも何かあった時

にできるだけ高い確率で家に帰してもらえ、地域サポートを充実させることで安心できるという、また異なる観点の「いい病院」の在り方を教えて頂きました。

バブルの崩壊と共に在院日数が減少し、ここ10年は15日前後で安定しています。外来患者数も駐車場の影響が大きいのか減っているのに対し、手術件数が増えていることから、「近森病院に行けば、元気になって帰れる」という地域の方々との信頼関係があると思いました。

・歴史から学べとよく言われていますが、本当に歴史から学んで実践されていることを伺い、とても感銘致しました。

「ツ・ナ・ガ・ル」に掲載されていた、『欣求楽市』の文章が印象的でした。「命を救う」「早く帰す」という二つの理念を実現させるための手段として、必要だからこう在るべきと考え、確実に実行されてきたことが分かりました。

振り返って自分は、在るべき姿の描き方がまだまだ曖昧であったと反省しました。

・お話を伺う時に「管理棟の2階」がわからずウロウロしていた私に、すぐに気づいて声をかけて下さった上、待ち合わせ場所まで案内して下さった方が、「とても働きやすい病院です」と嬉しそうに、そして誇らしげにおっしゃっていたのが印象的でした。勤務先を誇れるというのは、とても重要なことだと思います。企業理念を軸にした「いい会社」を増やしていく活動として「家族や他の人にも誇れる会社」という考えがありましたが、ますます強まりました。

末筆ながら、今後益々のご発展と、近森病院さまをモデルとした今後の病院の在り方が全国に広がることを願っております。 ありがとうございました。