社会医療法人近森病院様は、急性期医療、リハビリテーション、在宅医療を地域に展開しており、救命救急医療は近森病院、それ以外に、総合診療センター、リハビリテーション病院があり、リハビリテーションセンターは、脳卒中、脊損対象と整形外科専門に分かれており、全ての管理を近森病院管理棟で一括して行っていらっしゃいます。

地域において、病院の役割や求められることは、地域性により違いがあるのかもしれませんが、

近森病院様は、高知駅近辺のこの地域で必要な医療は何か、その中でも、自分たちがやらなければならない医療は何か、求められる医療は何か、を追求し、理念「近森病院は、急性期医療を中心とした、地域に真に求められる医療の提供を目指し、チーム医療を行い、地域医療連携に力を入れてまいります。」に基づき、実践されている病院でした。

病院内の見学もさせていただきましたが、1階は外来、2階は手術室、3階は検診関係となっており、震災の津波対策も考慮して設計されておりました。また、高リスクは集中治療室、経過観察は救命救急、問題がなくなれば一般病棟へと、その治療の流れをつくっており、各部屋の配置も工夫されており、院内で患者さんが無駄にベッドに乗ったまま病院の右の端から左の端まで移動するようなことのないように考えられておりました。

患者目線で考えると、必要に迫られ病院に受診をした際、救急で運ばれおおむね1週間で慢性期の一般病棟へ移り、穏やかに過ごせるようにお部屋が準備されており、病棟内の雰囲気も落ち着いて、安心して過ごせる空間があり、また、各科のスタッフの顔写真が表示してあり、誰でもわかるように透明化されているため、病院にいる間に、どんなスタッフに関わってもらうのかが一目瞭然になっているので、患者にとっては、とても安心感のもてる病院だと感じました。

 

また、病院内はどの科においても、清潔感があり、すべてが整理されていて、役割も明確化されている様子が感じられました。このように、病院内においても、チーム医療や地域医療を行っている様子が、地域のみなさんにも伝わり易い仕組みとなっており、とても分かりやすく、使いやすい病院であると感じました。そのため、いざ退院となった場合でも、患者さんの不安が最小限になるように、ソーシャルワーカーが在宅支援へのつなぎを行い、困ることがないように在宅、施設への調整を図る機能も充実されている様子でした。また、談室においても、地域医療連携室と医療相談室が設けられており、役割の明確化がされておりました。

 

そして、病院の管理全般においては、管理棟に管理部門があり、総務部、診療支援部、危機管理室に分かれ、経営に関する管理、各病院や施設のスタッフの調整・管理等のバランス調整を一括して行っており、徹底した管理体制が整っており、徹底管理されている仕組みが素晴らしと感じました。経営において、病院内に堤をつくり、水をながして巡回させて、その水の巡回がせき止められず、巡回し続ける仕組みづくりが必要であることを知りました。また、その枝分かれした水路は、いくつもに分かれ、病院内で止まらず、それを地域医療の連携をしながら、地域にも広がって展開されていく仕組みもあり、それらの徹底された経営管理、流れの仕組みづくり等全てが、経営の黒字化につながっていることを知りました。

 

また、医師と看護師は治療、薬剤師は薬学的管理、管理栄養士は栄養学的管理、理学療法士は理学的管理等、各専門職種の役割も明確化されており、判断・評価も医師のみがするのではなく、各専門分野の内容については、専門職種にも専門的にかかわってもらう仕組みとなっていました。実は、この仕組みこそが、患者さんを一番に考え最善を尽くす仕組みであると感じました。

この度、近森病院様を訪問させていただき、病院は何をしなければならないのか、どんな仕組みが必要なのかを学ぶことができました。当たり前のことを当たり前にできていることが一番大切であり、素晴らしいと思いました。そして、それが、スタッフの笑顔、患者さんの笑顔に結びついていくのだということを改めて実感いたしました。