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経営理念の実現は、顧客や従業員の感動に繋がるのか

TNC「経営理念チーム」の河上です。3回目の投稿となります。

前回は、「顧客や従業員の感動を増やすことは、幸福に繋がるのか」というテーマについてお伝えしました。

今回は、前回の続編となります。

企業の「感動価値」の創造が、「いい会社」を増やすことにどのように貢献するのか、そして、経営理念の実現とどのように繋がっていくのかについて、もう少しお伝えできればと思っております。

以下、前回のハイライトを交えながら、少しずつ内容を展開させて頂きます。

「いい会社」になるための、「感動価値」による好循環とは

前回の投稿では、企業が顧客に提供する商品・サービスにおいて「感動価値」(※)を創造することが、「いい会社」になるための好循環をもたらすことをお伝えしました。

(※)「感動価値」とは、企業が顧客に提供する商品・サービスに対して、顧客が感動するような付加価値のこと。また、顧客へ感動価値を提供する経営陣や従業員自身も、自らの仕事に対して感動するような価値。

「顧客が満足・感動するような商品・サービスを提供しよう」という企業の風土や姿勢が、従業員を通じて、顧客に対する満足・感動の提供へと繋がります。

満足や感動に至った顧客は、その気持ちを口コミとして知人へ伝えていきます。そして、企業の顧客は少しずつ増えていき、会社の業績は高まっていきます。

これが、「感動価値」を通じた、マーケティング上の好循環です。

また、顧客が満足・感動する過程に携わる従業員は、自分たちの仕事にやりがいや生きがいを見出すようになります。

補足ですが、顧客の満足や感動に貢献した従業員に対して、会社は適正な評価を実施することが重要です。この評価が、従業員のやりがいや生きがいを更に高めます。

その上で、従業員が働きがいを感じられる組織では、会社に対する愛社意識や帰属意識が高まっていきます。その結果、会社への定着や、採用・育成面でも好影響がもたらされます。

これが、「感動価値」を通じた、人事・労務面での好循環です。

そして、それぞれの好影響は、また新たな「感動価値」への創造へと繋がっていきます。

このように、「感動価値」は、マーケティングや人事・労務の面において、「いい会社」になるための良い循環を生み出します。

経営理念の実現は、顧客や従業員の感動に繋がるのか

それでは、「感動価値」の創造は、経営理念の実現と、どのように繋がっていくのでしょうか。

ここで一つ、具体例を挙げさせて頂きます。

先日、長野県伊那市に拠点を置く寒天メーカーであり、会社を取り巻くすべての人々が、「いい会社だね」と言ってくださるような会社を目標に掲げらている、伊那食品工業様へ会社・工場見学へ伺った時のことです(感染症対策を行った上で訪問させて頂きました)。

私たち(私と弊社スタッフ1名)は、「かんてんパパガーデン」と呼ばれる広い敷地に到着後、敷地内の施設や見学箇所について質問をしようと、本社の社屋内の受付に向かいました。

本社の社屋の手前に4段の階段(以下、実施に撮影した写真です)があるのですが、2段目に足をかけた瞬間でした。


正面入口を入って右側の受付カウンターの奥にいた、女性スタッフの方が私たちにすぐに気付き、笑顔で目を合わせ、手を前で重ね、スッと立ち上がりました。

その瞬間の私たちと女性との間には、階段、玄関の踊り場、ガラス張りのドア、さらにカウンター台が存在します。更に、距離にして、約5メートル以上はあったかと思います。

このように距離が離れていて、可視性が低い中で、こんなに素早く挨拶の姿勢に入ることは、非常に難しいことです。

私は、接客の仕事を長年やってきましたので、その凄さがよく分かります。常にお客様を暖かくお迎えする心が備わっていないとできません。

きっと、会社として来訪者に対して温かいお出迎えをする、という企業文化が浸透しているのだと感じました。

すなわち、有名な「いい会社をつくりましょう」という社是や、「いい会社」をつくるための10ヶ条などの理念や指針が社内に浸透し、実践されているのだと思います。

たったこの一瞬で、伊那食品工業の経営理念の浸透を実感することとなりました。現地に到着し、ほんの数分後の出来事でした。

その後、敷地内の庭や店舗や工場を回りましたが、他にも多くの理念の浸透を感じる箇所を発見することができました。

以下の図をご覧ください。今回の出来事と絡めて、接客サービスの話をさせて頂きます。

上記のピラミッドの画像は、サービスに関連する概念(考え方)を、目に見える形で表現したものです。私は、「サービスピラミッド」と呼んでいます。

ピラミッドの下層には、マナーを伴った「サービス」が存在します。「サービス」とは、顧客の期待(ニーズ)に沿えるよう、顧客に奉仕・貢献することです。

そして、顧客は、このサービスに対してお金(対価)を払い、ニーズを満たして欲しいと思っています。「このお店なら・・・」「この会社なら・・・」「この商品なら・・・」などといった事前期待のことです。

前述の例で言うと、私の事前期待(ニーズ)は、「伊那食品工業の受付スタッフの方なら、丁寧に質問に回答してくれ、簡単な施設の案内をしてくれるだろう」でした。

このニーズが満たされれば「満足」、もし満たされなければ「不満足」となります。そして、ニーズを超えれば「感動」となります。

「サービスピラミッド」で示すように、「サービス」を超えた上位の階層が、お客様が感動するような「ホスピタリティ」や「おもてなし」(すなわち「感動価値」)となります。

今回の伊那食品工業での出来事は、事前期待(ニーズ)を完全に超え、私たちは、彼女から「感動価値」を受け取ることとなりました。

そして、「サービスピラミッド」の土台にある概念(考え方)こそが、経営理念や行動指針だと私は捉えています。

つまり、お客様の期待を満たすサービスや、それを超える従業員がもたらすホスピタリティやおもてなし、つまり「感動価値」は、経営理念が実現された形とも言えます。

伊那食品工業の例で言えば、社是や理念、指針が土台となり、その上で、従業員の素晴らしいマナーや、お客様の期待に応えるサービス、それ以上の付加価値「感動価値」を提供しているということになります。

そして、会社が社員の幸せを追求し、従業員の皆さんが生き生きとやりがいを持って働くことができる環境があるからこそ、理念が浸透しやすく、前述の女性スタッフのような素晴らしいおもてなしが体現できるのだと思います。

経営理念は、会社としての全体最適を実現するための「想い」です。そして、その理念に基づき、サービスや商品が生み出され、顧客にその価値や付加価値の提供がなされているのです。

つまり、経営理念の実現は、顧客や従業員の満足や感動に繋がっているのです。

次回は、これまでの内容を前提として、経営理念の実現や「感動価値」の創造が企業文化として定着することで、組織としての「学習能力」が高まるという関係性についてお伝えさせて頂きます。

(河上 朗)


第1回目の河上のブログはこちら:https://e-kaisha.info/?p=521

第2回目の河上のブログはこちら:https://e-kaisha.info/?p=691

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